"ナイトメア"の才女

3/10

27人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
「……ねぇ、少し変なことを訊いてもいい?」 なにもかもを彼女たちに委ね、最後の仕上げをドレッサーの前でしてもらっているときに、わたしは口を開いた。 「はい。おっしゃってみてください」 「わたしは、エドワード王子のことをどんなふうに呼んでいたかしら」 「そうですね、いつもエドとお呼びになっているところをお見かけします」 「じゃあ、わたしとエドの関係は、あなたたちにはどう見えている?」 「いつも、仲睦まじくお見えになりますが……」 「そう。わかった」 「本当にどうされたんですか? やはり、本日はお休みになった方が」 「なんでもないわ。もし本当に具合が悪かったとしても、今日はエドの顔を見るまでは眠らないから」 『頭がよくないと、この先苦労すると思うけど……』 そうね、白いモヤモヤ(白モヤ)堀七海(わたし)だったら、むりだったかもしれない。 でも、さっき鏡を見て思ったの。 ここにいるのは、堀七海じゃなくて、この国の令嬢なんだって。 見た目が違うと、中身も違った気分になれるんだって。 この調子で、王子にも、どこぞの少女にも、悪態ついてやる。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加