27人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
「……ねぇ、少し変なことを訊いてもいい?」
なにもかもを彼女たちに委ね、最後の仕上げをドレッサーの前でしてもらっているときに、わたしは口を開いた。
「はい。おっしゃってみてください」
「わたしは、エドワード王子のことをどんなふうに呼んでいたかしら」
「そうですね、いつもエドとお呼びになっているところをお見かけします」
「じゃあ、わたしとエドの関係は、あなたたちにはどう見えている?」
「いつも、仲睦まじくお見えになりますが……」
「そう。わかった」
「本当にどうされたんですか? やはり、本日はお休みになった方が」
「なんでもないわ。もし本当に具合が悪かったとしても、今日はエドの顔を見るまでは眠らないから」
『頭がよくないと、この先苦労すると思うけど……』
そうね、白いモヤモヤ。
堀七海だったら、むりだったかもしれない。
でも、さっき鏡を見て思ったの。
ここにいるのは、堀七海じゃなくて、この国の令嬢なんだって。
見た目が違うと、中身も違った気分になれるんだって。
この調子で、王子にも、どこぞの少女にも、悪態ついてやる。
最初のコメントを投稿しよう!