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王様の要求
一日、特にどこもでかけなかった王様は退屈だったのか、私に絡んできた。
珍しい!
ついつい可愛くて、頭をもしゃもしゃとすると、やめろ!!!とばかりに抵抗されて、遠ざかっていった。
「まったく。これだから、下々の者は……。もっと優しくなでろ」
私のスキンシップがお気に召さなかったようだ。
残念、と思ってテレビを見ていると王様がどすんと私の体に体当たりした。
素直じゃないなぁ。
でも、今度は頭はやめておこう。
静かに寄り添っていれば、いいかと思った―――
ベシッ
情緒の欠片もなく、叩かれた。
おい……。
「俺は食後のデザートを要求している」
もしかして、それ狙いの絡みか!!
侮れないやつめ。
諸葛孔明レベルの策士もいいところだ。
「そんなものはない!」
「あるはずだ。例のブツを出せ!」
麻薬かよ。
しつこい王様に折れて、和牛味、エビ味などの入ったおやつを出した。
見るからに贅沢だ。
いや、贅沢だ。
一番高いやつだし。
なぜ買ったかと自問自答する。
気づいたら、買っていた。
それが答えだ。
私の給料はこの王様に吸い取られていると言っても過言ではない。
安いおやつを食べてくれればいいものを……。
恨めしく思いながらも、私は王様にどうぞと和牛味のおやつをあげた。
大喜びだったことは言うまでもない。
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