友人、神の力を手に入れる

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友人、神の力を手に入れる

ついに完全に適合した。これで我は人間から真の神に。 これでこの世界に存在する全てを自在に操ることができる。 物体に限らず【時間】【空間】【事象】【精神】【生命】など。今、この世界のあらゆる要素は我が手にある。 「**、今すぐ神の力を放棄し投降しなさい! どちらにしても神を取りこむなんて人間の身体じゃ持たないわ!」 後方から女の声がして、我は振り返った。 辺りは暗闇に包まれていて、女の顔には暗い影が落ちている。 **とは我の名のこと。確かに普通の人間の身体では持たないだろう。だが我は選ばれた存在なのだ。 そして、彼女は(われ)が神を取りこむきっかけになった者。 「投降しないなら、力づくであなたを殺して神を取りだす」 ほぉ、面白いことを言う。人間風情が我に敵うとでも? 暗い中、目を凝らすと彼女の後ろには10(とお)の人影が。 彼らは“BREAKERZ(ブレイカーズ)”と呼ばれる不届き者の集まり。(われ)が人間だった頃の友人でもある。 確かに今、地球上で我を討ちとる可能性が最も高いのは彼らに違いない。それは認めよう。 “BREAKERZ(ブレイカーズ)”が我の元に来る前、世界中の軍隊が集結し一斉にかかってきた。 世界中の人間が団結すること。これは我の大いなる目標の1つ。(われ)自身が人類の脅威になることでそれは達成された。 だが、残念ながら世界中の軍隊が団結しても我の足元には及ばなかった。 あのときは完全に適合していなかったにも関わらずだ。 「良いだろう。全力でかかってこい、()が友人たちよ」 我は彼らにそう言い放ち、手を天に掲げる。 見せてやろう、神と人間の絶望的な差を…。 「投降する気はないのね。BREAKERZ(ブレイカーズ)、彼を止めてください。どうかお願いします……」 彼女が振り返り軽く頭を下げると、彼らは1人を除いて一斉に向かってきた。 君たちがどれくらい持つか楽しみだ。
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