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素晴らしい、見事だ。思わず我は小さく拍手をしていた。
我との力の差が埋まることはなかったが、神の力によって生成したものを自身の肉体で相殺するとは…。
普通の人間にできることではない。やはり“BREAKERZ”の一員。ただ者ではない特性を持つ者。
彼ら1人1人には何かしら特徴がある。異能力であったり、圧倒的な力や速さ、生命力など…。
その能力のことを彼らは総じて“特質”と呼んでいる。
しかしながら、その素晴らしい“特質”を有する者たちが束になったところで____
「がはっ…」 「くそっ…」
____神には到底及ばない。
我の足元に瀕死の者、戦闘不能の者、既に息絶えた者たちが転がった。
さて、残るは後2人。
1人は変わらず遠くから戦況を見守っている。どうやら直接、闘う気はないようだ。とても賢明な判断だ。
我は人類や世界の滅亡を望んでいるわけではない。向かってこないなら、こちらからは何もする気はない。
「ごめんなさい…。ごめんなさい…。私のせいで……こんなことに……」
“BREAKERZ”を率いていた彼女は地面に座り込み静かに泣いていた。
何も泣くことはない。君は我にきっかけを与えることで間接的に世界を救済したのだから。
彼らは自らの意志で我に立ち向かい、自ら死の運命を選んだのだ。
自分を責めてはいけない。全ては彼ら自身の選択だ。
「僕……僕は……何をしている? なんで動けない? み、みんな…死んでしまった…。ぼ、僕は……」
項垂れる女の隣で茫然と立ち尽くしている1人の人間。
実質、彼が最後の1人だと思っていたが、どうやら戦意喪失しているようだ。
BREAKERZの中で最強だと思っていたのだが……拍子抜けだ。
我は向かってこない相手には手を出さない。
しかし君も最初は勇猛果敢に我に挑んできた1人だった。
実力差に圧倒され途中で闘いを投げ出すのは少し卑怯ではないか?
悪いが君に棄権する権利は与えない。ここで死んでいただこう。
我は身体を小刻みに震わせている彼の方へ歩いていく。
「やめて! 彼に闘う気はない! これ以上、殺さないで!」
どの口が言っている? 君も我を殺す気でいただろう。全く同じことをしようとしているだけだ。
彼女の言葉を無視し、最後の1人の目の前に立って拳を作った。
「これで終わりだ」
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