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………………。
彼だけを対象にする余裕はなく、この世界全ての時間を止めた。
しかし………、
「後2つ、欲しかったデータがある」
彼は何もなかったかのように話しだす。一体どうなっている? さっきからどうして効かない?
「まず1つ目は、その“指鳴らし”の有効範囲だ。僕は今ここにはいない。君が見ているのは僕のホログラム。これまでに君は2回、神の力を使った。それはブラックホールの生成と※※に対する時間制御。そのとき君から特殊なエネルギーを感知した。それと同じエネルギーが今、君の指から半径約10キロメートルの範囲内で発生。つまり、君が全力で全ての範囲を対象に指を鳴らしたとしても君から10キロメートル以上離れていれば、どんな効果であろうがこちらは影響を受けないというわけだ」
何だと……? そんなバカな。有効範囲など本来、我が決めるものだろう。
完全に適合しているのになぜだ!
「有効範囲が限られていると推測したのはブラックホールを生成したとき。もし、地球の地表付近でブラックホールが出現すれば本来、地球は一瞬にして押し潰され粉々になる。しかしそうはならなかった。ブラックホールの性質すらも10キロメートルの範囲を超えて影響することはなかったということだ」
我はそんな制約、信じない! だが、もし本当なら…。考えられる理由は、あくまで我の肉体は人間であること。
その人間の身体に完全に取りこんだとしても引き出せる力にはある程度、限界があるということかもしれない。
まずい…。全てを見通す我の神眼も10キロメートル以上は適応されないとすれば奴の居場所を特定できない。
あのボタンが何なのかわからない今、我は不利な立場にいる。
「そして、2つ目。これはあくまで予想でしかないが…。君は確か完全に適合したと言っていたな?」
「あぁ、そうだ。それは間違いない。そ、そのボタンは何だ?」
我の問いは完全に無視され、彼は淡々と2つ目について話を続けた。
「君は恐らく______
運命の最終決定権を所有してない」
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