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【時間はホームルームに遡る】
「起立! 礼! ありがとうございました!」
今日も終わりかぁ。いつもと変わらない1日だった。
辻本「じゃあ、明日までになぁ進路希望の紙書いてきてなぁ。まだ2年生だから決まってない人は興味のある学校とか、ざっくりこんな仕事に興味あるとかでもいいからなぁ」
忘れそうだから今書いて渡そう。
まだ進路なんて全然決めてないけど。
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学年:2年
学籍番号:02015
名前:水瀬 友紀
進路:どこかは決まってないけど大学に進学したいと思ってます。
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こんな感じでいいかな。
よし、まだ先生いるから出しにいこう。
今は放課後、みんなまだクラスに残って談笑している。
だいたいいつもこんな感じ。このクラスはみんな温厚で仲が良い。
ホームルームが終わってすぐに帰る人って基本いない。1人の不良を除いて。
だけど、今日は早く帰るべきだった。
水瀬「先生、今書けたので提出します」
辻本「お、ありがとな。水瀬はいつも早くて助かるよ。気をつけて帰るんだぞ」
水瀬「はい。ありがとうございます」
先生に一礼してから、教室のドアの方に身体を向ける。
そのとき、放課後にはあまり鳴らない教室のスピーカーの音が鳴り響いた。
このときはまだ何も思わなかった。
ここから僕たちの長い物語が始まったんだ。
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