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水瀬「慶か!」
声の正体がわかった僕は思わず声を上げる。
彼の名前は、文月 慶。
全体的に整った端正な顔立ちに、この国の男性の平均身長より少し高い175センチくらいの彼は僕の友達だ。
中学のときの同期で同じ高校なんだけど、違うクラスになってから最近は話してなかった。
このクラスにも慶を知っている人は結構いる。地元の中学、地元の高校だから。
文月『フフッ…バレたか』
正体がわかって、みんな安堵する。
彼は幼少の頃からプログラミングや物づくりが得意だった。
おまけにかなり冴えていて、普通の人が思いつかないような面白いものをよく造ってくれた。
今回はロボットと放送室のハッキングか。随分、大胆だな。
樹神「慶かよ! 焦らすなよ! 兄さんやってんねぇ~!」
この独特な言い回しをする彼は樹神 寛海。
かなりの癖っ毛で小学生の頃は髪が伸びると丸く膨らむから
“アフロ”
“ブロッコリー”
“カリフラワー”
“実験で失敗した頭”
なんて言われていたらしい。
樹神「捕まったら殺す? 逃げ切っても景品無し? ハズレ台しかないパチ屋かな? 俺、降りま~す」
そして今、パチンコにハマっている。
最近はパチンコに例えたツッコミしかしなくなった。
前はもうちょっとキレのあるツッコミが多かったのに…。
文月『“殺す”とは言っていない。人質だ。後、君たちに拒否権はない。もう鬼たちがそちらに向かっている。笑ってないでそろそろ逃げたほうが良いだろう』
樹神「ちょっとトイレ行ってくるわ~!」
話を聞かずに樹神はトイレに行ってしまった。
これはどこまで本気なのだろうか。ロボットを造るってのは慶ならありえる。
けど人質って何だ。もし、本気だとしたら何のために?
文月『忠告はした。それでは、3日後に。後、壊してもいいと言ったが…。耐久テストであらゆる銃火器を試したが、傷一つ付かなかったので戦うより逃げたほうが賢明だろう。それではよろしく。……ブツッ』
放送はここで終わった。
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