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我は高々と天に掲げた手の指を鳴らす。
指が擦れる乾いた音が響き渡り、我の頭上に黒い球体が現れた。
誰もが知っているであろう物質。突然の出現のため理解しがたいかもしれないが、これは紛れもないブラックホールだ。
壮絶な引力で地表を抉り、彼らを含めた付近の物体全てを呑み込もうとしている。
彼らはブラックホールに引きずり込まれないよう地面にしがみついた。
これに対抗できなければ我の勝利だ。我は手加減をしない。刃向かってきたものには容赦なく罰を与える。
「まずい! このままじゃ全員、吸い込まれる」
「大丈夫。僕が何とかする。これを止められるのは多分、僕だけだから…」
そう言って立ち上がるBREAKERZの1人。
××がこれを食いとめようというのか。1番戦力にならない君がこれをどう対処する?
他の者たちは地面に這いつくばりながらも手を伸ばし、必死に彼のしようとしていることを止めようとするが…。
彼はそれを無視して身体を浮遊させ、ブラックホールに自ら接近した。
「ふおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
何をしている? 素手でとめようとしているのか?
彼は吸い込まれることも身体が分解されることもなく普段の地声より1オクターブほど高い断末魔の声を上げながらブラックホールに触れている。
不思議な現象だ…。
「み…ん……な……後は……頼ん…だ」
彼はそう言い残し、ブラックホールと共に消滅した。
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