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「これで終わりだ」
悪くは思わないでくれ。
君たちの死は決して無駄にはしない。
君たちの死は、新たな世界への礎となるのだ。
せめて痛みを感じることなく、跡形もなく一瞬で逝かせてあげよう。
我は拳に全身全霊の力を込め、彼の顔を目がけて振り抜いた。
「ググッ……ギギ……」
ドンッ!
ボトッ……
何だ…? 爆発したような音と同時に振り切った自身の手が視界から消える。
その直後、我の背後に何か重みのあるものが地面に落ちた。
理解するのに少し時間がかかった。彼にとどめを刺すために繰りだしたはずの右腕が吹き飛んでいたのだ。
「グッ……!」
激しい痛みを感じ、もう片方の手で欠損した部分を押さえる。
そして、目の前にいる彼は無傷。考えられるのは、彼の“特質”。
何をされた…? ありえない…。神であるはずの我が何も視えなかった。
神を取りこんでから初めて感じた痛覚。人間だった頃の久しいこの感覚。
力で我に押し勝つとは…。さすがはBREAKERZ最強の男。
だが、腕の1本や2本すぐに再生する。これが神の力だ。
「ゴガアァァァァ!!」
どうした? その猛獣のような鳴き声は…。仲間が死んだ悲しみで自我を失ってしまったのか。
これは手応えのありそうな相手だ。存分に愉しませてもらうぞ。
猛獣と化した彼がこちらに向かってくる。小細工はしない、こちらも真っ向勝負で正面から迎え撃ってやる。
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