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バキ………バキ……
この音はいったい何だ? 時間を物理的に破る音なのか…?
拳の震えが大きくなると共にガラスが砕けるような音が明瞭になっていく。
まさか、本当に神の力を破るつもりなのか?
バキバキバキバキ!
震える拳はついに動き出し、我の顔面を凄まじい速度で打ち抜いた。
破られてしまった…。この化け物は時間を……神を超越してしまったのかもしれない。
「ウガアアアアアァァァァァ!」
無数の殴打が顔面に打ち込まれる。この速度、この威力で殴られ続ければ再生は間に合わない。
頼む、止まってくれ! 実に滑稽だが神が神にすがる想いで指を鳴らした。
止まったがまた動き出す。さっきよりも硬直が短い。
永遠に拳を浴びせられる我ができることは遠のく意識の中、指先だけに集中して指を鳴らし続け、何としてでも奴の動きを止めること。
もう一度、鳴らす…。もう止まることすらなかった。
終わりだ、まさか人間如きにやられるとは…。
神の力を使いこなせていなかった? そんなはずはない。完全に適合していたのは事実だ。
それを確信できるあの感覚は、神を体内に取りこんだ者にしか認知できない。
もう何も感じなくなってきた。死ぬ寸前まで残るのは聴覚だと聞いたことがあるが、どうやら本当みたいだ。
何も見えない、感じない。ひたすら殴り続けている鈍い音だけが聞こえる。
我の野望もここまでのようだ…。
「※※くん、やめて! このままではあなたが地球を……世界を滅ぼしてしまう!」
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