うちにへびがいます

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ある日蛙というものを見ました。青い青い蛙でした。ヒトのこどもたちというのが持っていました。小さいへびは見つからないように隠れて見ていました。お水あげるね、カエルさん。つるつるすべるねカエルさん。 蛙は強すぎる水をいっぱい注がれたり、うっかり落とされて体を叩きつけられてお尻からもう血がたらたら流れてました。青い青い蛙はこどもたちの指の間からつるんと滑ってへびのいる隙間にきました。助けて。このコトバは小さなへびにはわかりませんでした。かわりに小さなへびはお口を開けてしまいました。青い蛙が入って行きました。もうでられないよ、あわててへびは言いました。いいんだ、そういって蛙はもっと奥に行ってしまいました。ありがとう。そのコトバが聞こえました。その後蛙は二度と話しませんでした。小さなへびはありがとうを覚えました。食べるにとても似てました。 ある日小さなへびは四角い部屋の中のヒトたちを見てました。木の枝から見てました。白い服を羽織ったたくさんのヒトが白い鼠を見てました。「以上で実験は終わりです。…では、今から一番大事なことをしますので、深く深くよく見ておいてください。」ひとりがそう言って白い鼠を掴みました。「親指をここに充てて、少し力を入れます。」でもそのとき鼠は畝ってジャンプして外に飛び出し、小さいへびの傍に来ました。助けて。小さいへびは少し考えましたが、口を開けました。鼠が入って行きました。ありがとう。 ある日それは夜でした。嫌なキモチな夜でした。小さいへびは息を殺してじっとしていました。小さな仔猫が目の前に来ました。仔猫は片目が潰れて尻尾が切られ前足がひとつありませんでした。残った澄んだ目で仔猫はじっと小さいへびを見ました。小さいへびは口を開けました。大きく大きく開けました。ありがとう。確かにそう聞こえました。 小さいへびはこの日、ほんとにヒトってキライだなと思いました。でもお腹はとてもいっぱいになったのです。なんか、みんなキライだな。小さいへびはそう思いました。
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