6.ウリック=ボールドウィン

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「あたし達と初めて会った時のこと、覚えてますか?」  それはあまりにも唐突な質問だった。  セレスタは一瞬だけウリックの方に視線を流し、そのあとはただまっすぐにこちらに眼を向けてきた。ただしその視線には、ある種の含みを持たせながら。 「あ、ああ、もちろん。ローゼンマリアでランディと大道芸をしている時、だよな」 「そうです。その後、あたしとパパが泊まる宿に来てくれて。次の日、一緒にバルゼスタインの王国祭に行ったんです」  馬車内に差し込んでいた夕刻の光が不意に陰る。どうやら林の側の街道を走っているようだった。セレスタのアクアマリンの瞳が、じっとこちらを見つめている。  ……ああ、そうか。  セレスタは自分に伝えたいのだ。  バルゼスタインとエンディールは、“一日で往復できる距離ではない”、と。
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