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「ちょ、ちょっと待ってよ、パパ。パパは? どうするの?」
ウリックは席に落ち着いている間中、ずっとセレスタの頭を撫で続けていた。まるで他人事のような父親の物言いに、大きな手の下からセレスタが顔を上げる。
「後は、そうだな……お前はその親戚に相談して、適当な研究機関見繕ってもらって、そこに保護を求めろ。学都は基本的に中立の立場を取っているからな。エンディールにある研究機関なら、お前の身体の中身も精査してくれるはずだ」
ウリックは明らかに意図して、セレスタの問いかけを無視した。そしてまた自身を除外した前提で話を進めてくる。
妙な胸騒ぎがした。知らず知らず汗ばんでいた手の平を膝の上で握りしめる。
「だから……俺は逃げるなんて言ってないじゃないですか。今更……どこかに保護を求めるつもりもない、です」
「好きにしろ。セレスタを無事、家に送り届けてからな」
「……嫌だと言ったら?」
敢えて挑戦的に、上目を使う。ウリックはにやりと笑った。
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