とある町の小学生たち

3/7
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「れん。メダマちゃんいるか?」 「いない」  ぼくは、池の中をさがしながら言った。池には、虫や魚がたくさんいるけど、目玉みたいなお化けはいない。いなくてほっとする。 「あ、メダカ」 「なに? どこだ?」  ひろくんは、あきっぽい。メダマちゃんが見つからなかったら、すぐにべつの生き物にきょうみがうつる。今日は、メダカのむれを見つけたから、メダカとりになった。  ひろくんは、あみをのばしてメダカをつかまえようとしたけど、しっぱいした。かわりに、てきとうなえだで、ザリガニつりをした。さいきん毎日、ザリガニをつっている。今日は、3びきしかつれなかった。 「ほらよ。ちゃんと、持って帰れよ」 「うん」  ひろくんは、何をつっても、ぜったいに持って帰らない。お母さんが、ダメって言うらしい。だから、メダマちゃんさがしのついでにつった魚やザリガニは、全部、ぼくが持って帰ることになる。 「カメ、元気か?」 「うん。元気だよ」  カメは、先週この池でつかまえた。ぼくの家には、今は何もかっていない小さな池があるから、かえってひろくんに言われて、仕方なくかってる。  ないしょでカメを池に入れたけど、お母さんにはまだ見つかってない。池はあんまりきれいじゃないし、カメが、池のそこにかくれてるからだと思う。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!