1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
頭が痛くて起きた。スマホを確認すると深夜2時を向かえていた。
――昨日は忘年会で……えっと……
思考が上手く回らない。そんなに酒飲んだか? いや、これだけ頭がグルグルするって事はかなりの量を飲んでいたのだろう。
しかし、酔っていたとしてもこうやって自分の家のベッドに帰ってこれるのだから、人間にも帰巣本能ってやつはあるんだろうな。
俺は回らない頭でそんな事を思いながらベッドから起き上がった。
「寒いな……」
こんな真冬に布団もかけずに寝ていたのだから、それは身体も冷えるだろう。実際に俺はそれで目が覚めたんだしな。スーツを着たまま眠っていたらしくネクタイを解いて机の上にほったらかした。
トイレに行きたくなり重い頭を抱えながら向かった。
ガチャガチャ……
「あれ?なんで」
トイレのドアに鍵がかかっている。俺は一人暮らしだ。1Kで狭い部屋に住んでいる。駅から徒歩15分で近くにコンビニもあって気に入っている。
もう一度、俺はドアに手をかけてみたがドアノブは固く動きもしなかった。
――俺は酔ってトイレを外から鍵を閉めたのか?
まったく酔っている時、人間は何をするのか分かったものじゃないなと苦笑をこぼしながら俺は外からドアを開ける為に硬貨を取り出そうと財布を探した。
鞄に手を掛けてふと頭をよぎった。
――誰か一緒に帰って来たのか?
そう俺は思ったが直ぐに違うと考えを否定した。職場の同僚に最寄り駅が一緒な人はいない。ただし万が一という事もある。これで誰か入っていて急に俺が外から鍵を開けたらかなり気まずい。次、会社でどういう顔して会えばいいのか分からなくなる。
そして俺はトイレのドアまで戻りノックをしてみた。
コンコン……
何も音は返って来ない。もう一度ノックを繰り返してみる。
コンコン……
すると音が返ってきた。
トン……トン……
――マジか……音が返ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!