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私は、横たわっていました。
これで何度目でしょうか?
拷問によって痛みつけられ、朦朧とする意識の中、そんな事を考えます。
罪状を読み上げる声。
仕組まれた罪を信じ、憤る民衆の怒声。
投げつけられる石と、それを制する兵士たちの叫び。
いつもと、同じ展開です。
私は、処刑されるまでの1ヶ月間を、何度も繰り返していました。
処刑された私は次の瞬間、丁度処刑される1ヶ月前に巻き戻り、ベッドの中で目を覚ますのです。
全ての始まりは、大好きな人――私が幼い頃から側で仕えてくれた、使用人である彼の死でした。
ある夜、屋敷に忍び込んだ賊から私を守り、殺されたのです。
大好きでした。
愛していました。
しかし、この気持ちを伝える前に、彼は死んでしまった。
私は、泣き続けました。
そして、神に祈りました。
どうか……、彼が死ぬ前まで時間を巻き戻して欲しいと。
叶わない馬鹿な願いだと分かっていながら、私はいつしかを泣きつかれて眠ってしまったのです。
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