男子大学生の日常

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「まあいいけど。丸パクリすんなよ。俺が元ネタってバレたら面倒だから」 「やっりぃ。さすが保。ありがとな」  そう言って頭をぽんぽんと撫でてくる。前に大輝が「おまえってなんか柴犬みたい」と言ってから、たびたび犬のような扱いを受ける。それが意外と嫌じゃないから、自分でもそれを受け入れているのだと思う。 「そういやさぁ、クリスマスまでに彼女できなかったら飯奢るって約束ちゃんと覚えてるよな?」  な? と威圧的に目を覗き込まれ、保は微かに頷いた。言われるまですっかり忘れていた。  季節はまだ秋だが、あとほんの少しでクリスマスはやってきてしまう。大輝は得意げに胸を叩いた。 「合コンセッティングしてやったぞ。しかも、こんなど田舎じゃなくて政令指定都市で」 「は? 何言ってんだよお前」 「だから、そこで女子をゲットすんだよ。ここの大学じゃ残念ながら出会いはなかったからなぁ」  ぶすっとむくれながら大輝が呟く。しかし実際のところ、この大学の中じゃ一、二を争うイケメンと評される大輝は取っ替え引っ替え女を漁っていた。長続きしなかったのは大輝が女友達を多く持っていたせいらしい。  保も健全な恋を何度かしたが、長くは続かなかった。お互いなんとなく距離が開いてきて向こうから別れを告げられるというのがパターンだった。 「ヤリサーみたいなのは勘弁な」 「違うって。俺の友達の紹介だから安心しろ」
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