男子大学生の日常

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 迎えた合コン当日。地元の寂れた駅とは全く違う様相の駅前で大輝とともに女子たちを待つこと五分。ぞろぞろと目の前にやってきた三人の女子がねぇねえと声をかけてきた。 「大輝。一人男子少なくない?」  活発にはきはきとした物言いでリーダー格の女子が言う。後ろに控えた二人の女子はちらちらとこちらを盗み見てきた。保が軽く笑ってやると小さく内緒話をするように声を潜めている。 「もう一人は今遅れてるから。先に店に行こうぜ」  めかしこんできた大輝の張り切り具合と比べると保はいつもと変わらない格好をしている。黒いスラックスに白いパーカーに、上にはチェック柄のコートを着ている。ザ・そこらへんの大学生という格好で大輝の後ろについていく。正直、彼女が欲しいとは思わない。どうせまた付き合ってもなんとなく離れていくのだと思うと、相手のことを知ったりその上で告白したりするのが面倒くさく思えてくるのだ。こんなとき、峰山が保を見ていたらなんというのだろうか。「可愛くないな」そう言ってまた頭を小突かれるのだろうか。ぼんやりとそんなことを考えていた保は後ろから肩を叩かれてはっとする。 「保。ぼーっとしてんなよ。店着いたぞ」 「わり。ちょっと寝不足で」  ふぁっと大きな欠伸をすると、それを見ていた女子が話し込み始める。ポイント下がったかなと思いながら、店員に勧められた席につく。遅れてきたもう一人の男も店に到着した頃に、簡単に自己紹介をして合コンが始まった。
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