男子大学生の日常

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「大輝くんってほんとおしゃれだよね。モデルみたいでかっこいい」 「ありがとう。美咲ちゃんもかわいいよ。そのふわふわの髪型とか、ね」  さっそくいつもの調子で女子をおだてる大輝を横目にパンケーキを頬張る。実は初めて食べた。あまりの柔らかさに目を丸くしてがっついていると、正面に座る女子がじっとそれを見つめてきているのに気付く。 「保くん、甘いの好きなの?」  どこか強気な雰囲気を醸しだす彼女の名前は、たしか愛理というらしい。 「まあ、地元にはパンケーキ屋なんてないからさ」 「旅館でアルバイトしてるんだってね。どう? 大変?」  大変に決まってると思いながら顔を上げる。赤いリップに大きな二重。髪は真っ黒のストレートで、眉がきりりとしている。似ているわけでもないのに峰山の顔が頭に浮かんだ。 「そこそこ。愛理さんはバイト何してるの?」  相手をさん付けにして少し距離を取る。彼女は頬杖をついてこちらを見た。 「化粧品売り場の販売員。マダムの相手するの結構疲れるんだよね」  当たり障りのない会話をしつつ、早く終われと心から願う。愛理さんは残りの二人が楽しげにそれぞれの男と話しているのを気にしている様子はなかった。彼女もあまり乗り気ではないようだ。アイスティーを口にしながら窓の方を眺めている。整った顔には、つまらないと書いてあるようだった。  パンケーキを平らげ一度席を立ちトイレに向かうと後ろから大輝がついてきた。用をすまして洗面所で手を洗っていると、ぐいぐいと肩で押される。 「全然やる気ねえじゃん保。せっかく浜女の子達つかまえてきたのに」  浜女というのは、彼女たちの大学の略称だ。正式には横浜女子大学。
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