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 そんな日が続いたある夜更け。稽古で疲れ切った茜がいつものように峰山の部屋で、隣に布団を敷いて寝ている隙をうかがってそろりそろりと廊下に出る。そのまま従業員用の部屋に向かう。何度も出入りしている様子を見ていたから、部屋を間違えるはずはなかった。まるで夜這いのようだと心の中で笑いながら、保の部屋の前でさてどうしたものかと頭を悩ませる。  スッと襖を開き、薄暗い部屋の中に足を踏み入れた。すやすやと寝息を立てながら保は熟睡している。驚かせたい気持ちが溢れてきて、そっと保の布団を剥ぎ取った。悪く思うなよと心の中で呟き、保の履いているパジャマのズボンを下ろしていく。そして黒いボクサーパンツに頭を埋めた。保の体温がほんのりと伝わってきて、嬉しくなる。きっと今俺は悪い顔をしているに違いない。  保の下着の中に手を入れる。そこは(ぬく)かった。柔らかく揉み込んでいると、だんだんと硬くなっていく。ぴくりと保の腰が揺れたのを峰山は見逃さなかった。パジャマのボタンをパチパチと外していき、露わになった薄い胸に頬をつける。どくん、どくんと規則正しい胸の鼓動を聞きながら、手を動かす速さを早めた。すると、どくどくどくと心音が速くなっていく。それを満足げに微笑んでから、保の桃色の突起に唇を這わせた。なにも味はしないはずなのに甘く感じるのは保の持つ体臭のせいだろうか。まったく臭くなどない。花の蜜に吸い寄せられた蜜蜂のように顔を近づけていく。 「ん……」  保の眉が下がった。下着の中は丸く膨れ上がっている。ゆっくりと下着を太腿まで下ろして、足の間に口をつけた。太腿に柔らかく吸い付き、離す。自分が興奮しているのか息が上がっていく。茜のせいでずっとご無沙汰だったそこは触れてもいないのに硬くなっていた。
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