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奇妙な現象は初日から起きていた。
突然、テーブルの上の雑誌がパラパラとめくれたり。
テレビが突然ついたり。
そもそも条件にしては安すぎる物件だった。
駅から徒歩五分。十畳。角部屋。
相場六万円に対して三万円。
だが、ぼくは飛びついた。
はやく引っ越しをしたかったからだ。
ぼくは二年つきあった彼女にふられたばかりだった。
きっかけは人事異動だ。
ぼくは雑貨メーカーに勤めており商品開発を任されていたが、営業に配置替えとなった。それを彼女に告げるとあっさりとふられてしまったのだ。
彼女は商品開発をしているぼくが好きなだけだったのだ。
彼女との思い出のつまった部屋にいるのはとてもつらいことだった。
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