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相変わらず、奇妙な現象は続いた。
テレビが突然ついたり、カップに入れたままのスプーンがくるりと一回転してみたり。
でも彼女にふられてしまったぼくにとっては、そんなものは少し気をまぎれさせてくれるちょっとしたハプニングだった。
ある日友人がコンパをセッティングしてくれた。
彼女にふられてしまったぼくをはげますのが目的なことは明白で、その気持ちがうれしくてぼくは参加することにした。
コンパは盛り上がり、その流れでぼくの部屋でみんなで飲み直すことになった。
ところがぼくの部屋の前に来るとひとりの女の子が入るのを嫌がった。ひどく怯えていた。
思い当るふしがあるぼくが訊くと、霊感があるという。
ぼくは彼女に頼み込んで部屋を見てもらった。
たしかにいるという。
男にふられたショックでこの部屋で自殺をした女だという。
男が自分のところに戻って来たと勘違いして、じっとぼくを見ていると。
みんなは震えあがって部屋を出て行った。
霊感のある女の子もはやく引っ越すように忠告して出て行った。
でもぼくは怖いとは思わなかった。
好きな人にふられてしまった立場は同じじゃないか。
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