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カッセルを遮り、リーベルさんは声を上げた。
有無を言わせぬ彼の圧に、さしものカッセルも一瞬たじろいだ様子を見せる。
「……もうやめろ。そこまでだ。ここから先は俺たちが話す。言っただろ。けじめだって」
「ほう……。私には、そのけじめとやらに何の意味があるのかは分かりませんがね。あなたの意志を尊重しましょう」
カッセルがそれとなく促すと、リーベルさんは俺たちに向き直ってくる。
「アンタたちに言っておくことがある。まずはフィリさん」
「へっ!? は、はい……」
「ケルトは神薬を飲んでいない」
「えっ!? じゃあケルトさんの記憶は……」
フィリが聞くと、リーベルさんはゆっくりと頷いた。
ケルトさんは決まりの悪い沈んだ表情で、フィリが向けた視線に応える。
「だからアンタのことも恐らく覚えてるはずだ。詳しくは、ソイツから聞いてくれ。それと、マルクさん。俺はアンタに謝んなきゃならねぇことがある」
「……なんだよ」
「……別に私怨でも何でもないんだ。アンタに神薬は、渡せない」
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