教師というひと

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 どうでもいいやと蜜は巻物を周防に渡すとさっさと廊下へと出た。 「もう戻ります」 「あ、ああ、悪かったな、ありがとう」  困惑する周防の隣で小石川はのんきに手を振っている。 「蜜くんまたね」    またねじゃねーよ!  蜜は心の中で悪態をつきながら廊下を歩いた。  レオって名前で呼んでいた。  きっと仲がいいんだろう。  それに先生のお気に入りってなんだ。  あの人に気に入られたつもりはない。  しかも気軽に蜜くんってよびやがって。  イライラが収まらないまま教室に戻ると、裕二が驚いたように蜜を見た。 「どーした? なんか嫌なことでもあった?」 「あった」  不機嫌を隠さずに椅子に座ると大きなため息が出た。  せっかくの休み時間を無駄に過ごしてしまった。それも全部周防が悪い。あのひとが頼みごとをしなければこんな不愉快な気分にならなかったのに。  その後の授業が周防の古典だったからさらに蜜の機嫌は悪くなった。  あの巻物が百人一首を羅列したものだったのがさらに腹立たしかった。  恋だ愛だってうるさいよ。  こっちはそれどころじゃないのに。  蜜の不機嫌は放課後まで続いた。
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