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【 第十話: おでこキッス★リターン 】
お兄ちゃんのいる玄関先まで、小走りで駆け寄る。
すると、お兄ちゃんは目を閉じ、俯いたまま、重い口を開く。
「せめて、普通の格好で出てきて欲しかった……。俺がコスプレマニアだと思われちゃったじゃないか……」
「大丈夫。これで、あのお姉さんも私たちが普通の関係じゃないっていうことを分かってくれたと思うの」
「そ・れ・が・ダ・メ・な・ん・だっつーの……」
お兄ちゃんは変な汗をかいているようだ。
顔はいいが、顔色がとてもよくない。
だから、お兄ちゃんの前まで行き、俯いているお兄ちゃんの前髪を右手で上にあげ、私から『おでこキッス』のお返しをする。
『チュッ』
お兄ちゃんのおでこと、私のおでこがまるで、『キス』をしているよう……。
「お前、何してるんだ……」
「うん、『おでこキッス』だよ」
お兄ちゃんは、尚も目を瞑ったまま汗をかいている。
呆れているような様子だ。
「何だ、その『おでこキッス』ってのは……?」
「うん、お兄ちゃんがお熱あるかなぁ~って思って、元気付けるための若菜からの『おでこキッス』のお返し♪」
「おでこキッスのお返し……?」
「うん、早く元気になるように、私からお兄ちゃんに『おでこキッス★リターン』だよ♪」
「お前、そういうワード好きだな……」
「うふふっ♪ 元気になった? お兄ちゃん♪」
私は誰にも負けない。
お兄ちゃんとの恋愛にハードルは付き物だ。
そんなの分かってる。
だから、悲しくてもいい。
切なくてもいい。
恋のライバルが沢山いようと、私は負けない!
お兄ちゃんとの恋愛は、『戦い』だ!!
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