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渋る結衣を連れて実家に向かう。
玄関の灯りはついていたし
実家で同居している長男の車も家の前にあった。
「ただいま。」
ガラガラと玄関の引き戸を開ける。
「遅くに大変だったべ。ご苦労様な。お母さんから、昌くん向かってるってメール来てよ。」
長男の嫁さんが居間から出てくる。
もう12時を回っていたが、兄貴の嫁さんは俺がくるのを待っててくれた。
「お姉さん、起来ててもらって、ありがとうございます。」
久々に聞く山形弁に、つい俺も鈍る。
「お袋と兄貴たちは?」
「病院さ行ってだ。昌くんタクシーで来るベがらって、うちの人車置いてったから、乗ってっていいど。市立病院さいだがら。」
と鍵を渡してくれる兄貴の嫁さん。
「ありがてえっす。」と鍵を受け取る。
俺の後ろにちょこんと隠れていた結衣に気づいた兄貴の嫁さん。
「彼女さんが?」
結衣を覗き込みながらそう聞いてくる。
「んだ。俺動揺して、ここまで連れきてもらった。」
「まず、めんごいごと。いがったな、昌くん。」
多分、会話の半分くらい理解できてない結衣。
「佐伯結衣です。」と小さく自己紹介する結衣。
「結衣ちゃんか。ありがとなー。結衣ちゃんどうする?一緒に病院さ行ぐが?家で待っててもいいげんど。」
連れて行きたいけど。
結衣が困るよな。どうしようか。
「まあくん、私待ってるから行ってきて。」
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