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まあ君は荷物を玄関の脇に置いて、お兄さんの車で
病院へと急いで向かった。
「結衣ちゃんも急なことで大変だったべ。上がってゆっくりしてな?」
とまあ君のお兄さんのお嫁さんが優しく声をかけてくれる。
でも、そんな急に来て、上がり込むなんて
図々しすぎるじゃないか。
私はこのままタクシーを呼んで
どこかのビジネスホテルにでも泊まろうかと考えていた。
「いや、どこかホテルでも泊まりますから、大丈夫です。」
「なんだべ、ホテルなんて。そんなお金使うことないがら。緊張するべけど、大丈夫だから、ここで待ってな。昌くんも帰ってきて結衣ちゃんいながったら、心細いべ。」
まあ君のことを言われると、
何も言えない・・・。
さっきまでの動揺した姿を思うと
ちょっと心が痛む。
「えーっと・・・。」
「私も何かと心細いから、一緒にいてけっとありがたいんだけどな。」
「うち、男所帯で何かと大変だがらよ。」
とちょっと困ったように目尻を下げて優しく微笑む
まあ君のお兄さんのお嫁さん。
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・。」
と結局、申し訳なく思いながらもお邪魔することになってしまった。
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