112

1/2
前へ
/714ページ
次へ

112

兄貴の車を借りて、20分くらい走ると 病院についた。 夜間の出入り口で親父の名前を告げ、息子であることを告げると 病棟に通された。 エレベーターの横の待合室にお袋と兄貴2人がいた。 「昌、遅かったな。」と長男が俺に気づく。 すると待合室のソファの隅で小さくなっていたお袋が顔をあげる。 「まだ、手術中。」 「手術?」 長男が俺に説明する。 今日の夕方過ぎに親父が急に倒れたこと。 救急車で運ばれて、病院に来た事。 くも膜下出血という病気になったということ。 今、その出血したところをクリップで挟んで止める手術をしていること。 手術は6時間〜8時間くらいかかる予定だということ。 親父も75歳。 知らぬ間に年取ってたんだな、とつくづく感じる俺。 「まあ、待つしかねえんだ。」 二番目の兄貴が眉間に皺を寄せて、ボソッと呟く。 「あんた大丈夫だったのが?電話した時固まってたべ。ちゃんと来れるか心配しったんだ。」 とお袋に言われる。 やっぱり母親。全部見られてた気になる。 「大丈夫。一緒に来たから。」 なんて言っていいか分からず 最低限の言葉を選ぶ。
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

550人が本棚に入れています
本棚に追加