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「いた!ぴょんぴょん!」
「ねぇ幸子、前から思ってたけどアレのどこが可愛いの?」
「どこをどう見ても可愛い。あの目を見てよ?汚れを知らないキラッキラ」
「薄汚れてない?」
「ピンクの肌は癒し系」
「結構チカチカする色だけどね」
「さ、そんなことはいいから早くぴょんぴょんのところ行くよ!一緒に写真撮るんだから!」
「…はいはい」
12月初旬
外はもうすっかり寒いこの季節、あたし幸子は、ここ『ぴょんぴょんランド』という名の遊園地に来ていた。
新しいか古いかと言われたらおそらく後者であろうぴょんぴょんランドは、土曜日だというのにアトラクションの待ち時間は五分程度。
過激な絶叫マシンがあるわけでもなければ、10人中9人がリタイアするような恐怖のお化け屋敷があるわけでもない。
ありきたりなアトラクションだけを揃えた子連れの家族向け遊園地なのに、あたしは夫や子供どころか彼氏すらいないがここの常連だ。
目的はもちろんぴょんぴょん。
ぴょんぴょんというのはぴょんぴょんランドのマスコットキャラクターで、その名の通り可愛らしいうさぎのキャラクターなのだ。
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