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「はじめまして、伊東です。お願いします。」
「…お願いします。」
少しハスキーな声。さっきのスタッフとは違って茶髪の女性スタッフ。
胸には「伊東」と書かれた星が二つ描かれているバッチをしている。
俺は座っているから正確じゃないけど、伊東さんは背が高めだ。俺と変わらんかも。モデル体型と言うのは少し違うが細身。そして手元。仕事の為に使われた感じが見られる。多分さっきのスタッフより年上。
「…じゃあ…どんな感じに仕上げます?」
「…どんな…。」
美容院へ行きなれていないこと直ぐにバレた。伊東さんは一瞬止まって俺の髪を触り顔つきを鏡で確認する。
「…耳を出しますか?」
「はい。」
「じゃあ、流行りの感じでさわやかにしましょう。前髪は目にかからないくらいでいいですか?」
「はい。」
伊東さんはスムーズに話を進めてくれた。
その横で男性美容師と女性客が雑誌のモデルを指さしながら、なんやかんや話している。
きっと流行りの髪色や、噂の俳優に合わせてとかあるんだうが、正直あそこまで具体的な話をするとこちらも疲れる。そういう所で今日の伊東さんはいい距離がある。
「じゃあ始めていきますね。」
伊東さんは腰の道具からバリカンを取り出す。
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