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「お、なんかいつもと違うじゃん!」 友人が一言、それから二回くらい 「髪切った?」 の質問をされただけで変わるものなど無かった。 それはそうだ。 たまにテレビが一流のスタイリストにより一般人が絶世の美女にとかやってるけど、あれは時間をかけた、言わば作品だ。 庶民的な散髪にそこまでの力はない。 たまに髪の色を常にオレンジの一定にしたいとか、 そのツヤ感を保ちたいとか、 デートだからとか、 そんな理由で一時的にドーピングするのに金をかけているんだ。 いつの間にか、俺もどんな髪型にしてもらったのか? そして伊東さんの存在も忘れかけていた。 そのまま忘れるのが俺の今までだった。 しかし小さな俺の蕾は、 咲くことない蕾は、 俺をまた動かしていた。 2ヶ月後。 俺はまた美容院へ来ていた。
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