あなたとうどん

1/17
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「あやや、明日、うどん食いに行こ」  バイト終わりに村上さんに声をかけられた。 「は? うどんですか?」  そんな返事しかできない私に、村上さんは笑って続ける。 「そ、うどん。ここの駐車場に朝七時集合で!」  人差し指をビシッと突き出した村上さんは、そのまま男性用ロッカールームに入っていった。  私が着替え終わって出た時には、もう村上さんは帰った後で、「はい」とも「いいえ」とも返事ができない。  ラインも何も村上さんの連絡先を知らない私はもう、『うどんを食いに行く』しかなかった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!