私の綺麗な心

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私の綺麗な心

同級生に太ってると言われた。 普段なら気になんてしない。 そう言われても仕方ないから。 太ってる上に地味で根暗、それが私。 でも、好きな人の前でそれを言われた。 太ってると言われた私を見てその人はクスっと微笑んだ。 恥ずかしい・・ 自分の不摂生を呪いたい。 そんな私の前に「コレ」は現れた。 「コレ」は自分の事を妖精だと言い始める。 「コレ」は私に「どんな願い事でもかなえてあげる。その代わり君の一番綺麗なものを貰っていく」といった。 私は迷わず「痩せたい!綺麗になりたい!」と「コレ」に言う。 「コレ」はその願いを聞き届けると言った。 そこで私は目が覚めた。 なんだ夢か・・・と思っていたが鏡を見た私は驚愕した。 「え・・これが・・・私?」 そこに移っていたのは昨日までのデブで地味な私じゃなく、細くて綺麗な私だった。 「嘘・・・本当に「コレ」っていたんだ・・・」 私は生まれ変わった気分で学校に向かう。 私の姿を見た同級生は皆びっくりしていた。 そして、今までなら私の事を気にも留めなかった男子たちが次々に寄って来る。 男子たちは私に「ねぇねぇ?好きな人とかいる?」とか「今度あそぼうぜ?」 と声をかけてくる。 私は気分が良くなり、「え~!すっごい嬉しいぃ!でもまたこんどね?」と 明るく返事を返していく。 その後も寄ってくる男子とテキトーに話しながら自分の美貌を見せつける。 でも、彼だけは来なかった。 私の好きな人。 私は彼の席へ行き、「ねぇねぇ、今度の土曜日デートしよ?」とデートに誘った。 今までの私ならぜっていにできない。 でも今の私ならできる。 それだけ自身がある。 この見た目に。 でも彼は 「ごめん、今の君には惹かれない」 そう言って教室を出ていった。 なんで?私、こんなに綺麗になったのに・・・。 貴方に釣り合うぐらい綺麗になったのに・・・。 私は彼の後を追う。 「まって!?なんで!?何が問題なの!?私こんなに綺麗になったのに!!」 彼の肩を掴み、必死に自分の美貌をつたえる。 そんな私を見て彼はいつもとは違う、悲しい顔を私に向けた。 「僕が惹かれるのは普段の君だ。誰に気づかれることもないのに誰よりも先に学校に来て教室の掃除をして、校庭の花に水を上げるような優しい君だ。今の君は・・・心が不細工だ。」 そう言って彼は歩いて行った。 私はその時思いだす。 「コレ」が言っていたことを 「どんな願い事でもかなえてあげる。その代わり君の一番綺麗なものを貰っていく」 私の一番綺麗な物 それはきっと心だったんだ。 気づいた時にはすでに遅かった。 ・ ・ ・ 「やっぱりこの子もだめだったねぇ~」 僕は手の上にある「彼女の心」を転がしながらそう呟く。 「いつまでこんなことをなさるつもりですか?」 その時不意に後ろから声を掛けられる。 「ん~いつまでだろうねぇ~。希望にたっどりつくまでかなぁ~」 僕はそう言って手元の「彼女の心」を器に入れる。 「次の子は、絶望じゃなく希望にたどり着くかな?」 僕は瞳を閉じる。 そして「コレ」の姿になり街をさまよう。 次の子を探すために。
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