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骨 (4)
「マジでつっかれた!!!!」
半ば叫ぶようにしながら、玄関へと雪崩れ込む。そのまま乱雑に靴を脱ぎ捨てると、部屋の中にいるであろう人物に向け、もう一度同じセリフを繰り返す。
そのままうつ伏せになって倒れていれば、真上から若干呆れたような声が掛かった。
「いや、どうしたの?ヒトミ」
「聞いてくれ、ハジメ。今日はマジでしんどかった」
「いいけど、とりあえず部屋の中に入りなよ」
やや白い目で見られながらも、大人しく部屋へと入る。もたれるようにベッドに突っ伏しながら、ハジメへと今日あった話をする。
「それ、何時くらいの話?今日だよね?」
心霊現象のあった下まで話したところで、ハジメから静止の声が掛かる。正確な時間は分からなかったが、ざっくり何時くらいと答えると、今度は考え込むように黙ってしまう。
「全然気が付かなかった」
「いやいや、そんな落ち込まんでも」
そんなこともあるだろうに、割と本気で落ち込むハジメに焦りつつも宥めれば、分かってないなという目で睨まれる。いや、なぜここで俺が責められるのか。
「ヒトミは俺が唾付けてるようなもんだって言ったよね?何かあれば、絶対に分かるはずなんだ」
絶対、と言う確信がなんなのか俺には分からなかったが、ハジメには分かるのだろう。ぽかんと間抜けヅラでもしているのがバレたのか、ハジメは仕方ないなとでも言いたげな顔で、ため息をひとつ吐く。
「まあいいや、それでどうなったの?」
「どうにも。その後人が来てさ、なんもなく終わったよ」
あの後、特に心霊現象は起こらなかった。特に何をされた訳でもないので、結局アレは何で起きたのかは分からなかった。
「それでさ、聞いてくれよ。部長が意味深な発言ばっかりするから身構えてたんだけど、ただの勘違いオチだったって話」
これを一番聞いて欲しかったんだよ、と前のめりになりながら事の顛末を話して聞かせる。あんなに意味深な話をしておきながら、全部部長の深読みだったのだ。ただのお騒がせな、笑い話だった。
だけど、なぜか話を聞いていたハジメは、眉間に皺を寄せ怪訝な表情をしていた。
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