骨 (4)

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 その後した会話も含め、状況を整理すると、腑に落ちたのかすっかりハジメの眉間の皺はなくなっていた。 「その部長、中々鋭いね」    普段俺のことは馬鹿にしてばかりなのに、部長のことはあっさり褒めるのかよ!と内心面白くはない。全く面白くはないが、説明を聞かせて欲しい気持ちの方が優っていたので、何も言わずに待つ。 「それに、その方が心霊現象の理由もつくよ」 「え?」 「俺はね、ヒトミに害のある霊なら絶対に分かる。だから裏を返せば、ソレには危害を加える気がなかったってことになる」    では、危害を加える気はないのに、なぜ心霊現象は起こったのか。もう答えは分かっているのか、ハジメはなんだか楽しそうだった。 「その前提で考えれば、単純な話だ」  その場にいた霊ではなく、その女性の方が怪しかったのだとしたら。この心霊現象の理由にもなると、ハジメは説明する。  音がしたあの時、古永部長は「普通なら逆に逃げる」と言った。その通り、あの霊は俺たちを逆方向に行かせたかったのだとしたら。それは、女性がやって来た方向とは、真逆になるのではないか。あの霊は、逆方向に逃がせたかったのではないか。  頭の奥で「これが条件だ」そう言った時の部長と話が繋がっていく。 「まあ、死人に口なし。あくまで仮定だけど」 「いや、ハジメはめっちゃ喋ってんじゃん」  死人でも口あるし。などと、つい余計な茶々を入れてしまいハジメに睨まれる。  とはいえ、ハジメが言うのだから、きっとそうなのだろう。絶対と言い切るハジメには、俺には分からないが、良くない霊とそうでない霊が分かるのだろう。死んだ人間が元なのか、生きた人間が元となったのか、心霊現象の違いが分かるように。 「それじゃ、あの霊は助けてくれようとしてたってことか…」  あの時見た霊を思い出す。複数人が合わさったソレは、とてもそんな穏やかなものには見えなかった。だけど、見た目では分からないことは、たくさんあるのかもしれない。  俺はずっと考えている。悪霊とは何なのかを。
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