骨 (4)

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「結果的にはそうだけど。何度も言うようだけれど、同情する必要はないよ。良かれと思ってしてるのかすら分からないのだから」  目の前のハジメを見る。ハジメだって、最初はとても直視出来ないような見た目だった。だけど今となっては、なんやかんやでいつも俺を助けてくれる。  ハジメは霊について同情する必要はないと言うし、部長はただの映像だと言う。だけど俺は、部長のようにただの映像だと割り切ることなんてできない。  だって、少なくとも、俺の目の前にいるハジメはただの映像なんかではないのだから。 「…良いことしても、怖がられてたんじゃ可哀想だ」 「だから、それが必要ないって言うのに、」  霊が見えるようになってからのここ半年近くで、分かったことがある。  本当に怖いのは、霊なのか?人なのか?いいや、元を辿ればどちらも同じ。人の強い感情が引き起こすもの。それが生きた人か死んだ人によるものかは、分からないけれど。人も霊も、その中身に大した差なんてないのだと。  なら、目に見える事実だけで、悪霊と一括りにしてしまうのも違うのではないか。霊はいたとして、やっぱり悪霊なんてものもいないんじゃないだろうか。 「ヒトミは馬鹿だなぁ」  考え込むように黙った俺を見て、ハジメは仕方ないなと苦笑する。  馬鹿だ馬鹿だといつも言うけれど。ハジメが本気で馬鹿にしていないことくらいは、俺はもう分かっている。 「はいはい、どうせ俺は馬鹿ですよっと」  ハジメにはハジメの。部長には部長の。霊に対する考えを、それぞれきちんと持っている。だから、俺は俺で、きちんと自分で考えなきゃならない。  そういえば、後日。  公園のあの区画は、警察の調査のためしばらく立ち入り禁止となっていた。比較的新しい人骨が、複数人分発見されたのだとか。  どうやら、古長部長が通報したらしい。
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