0人が本棚に入れています
本棚に追加
「そしておまえ達人間は、時間に縛られることになったんだよ」と今はドヤ顔で言い放った。それから午後の紅茶無糖を1口飲んで喉を潤してから話を続けた。
1900年代に入りクウォーツの時計が発明されてからはもう最悪だった。そしてセシウム原子で時を計りだした時、人間は完全に時間の支配下になったんだ。
おまえ達日本人は特にそうだよ。時間に正確かどうかで他人の人間性まで決めつける。
時間なんて概念であって、存在しないのにね。
「時間は存在しない?」と僕は聞いた。
「存在しない。過去も未来も存在し無い。それはただの概念だよ。時計の針が傾きを変えただけのことだ」
僕はデジタル表記の腕時計に目をやった。
「ただの概念。日時計の影が移動しながら伸びたり縮んだりしただけのこと」
そう言うと今はのらりと立ち上がって窓から空を眺めた。
「そろそろ夕焼けだ」
最初のコメントを投稿しよう!