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「でもも、何もありません。そもそも!」
そこでグイッと顔を近づけられて、僕は慌てて顔を背ける。
そんなに近づいたら感染っちゃうだろ!
「理人、病院も行かずに帰って来てるでしょ!?」
キッと睨みつけられて僕は言葉に詰まった。
だって、そんな気力なかったし……。
心の中でそっと言い訳をするけれど、言ったら余計に叱られそうなので言えなくて。
「まだ病院やってる時間だし、私が連れて行ってあげる! だからさっさと支度して?」
次いで言われたセリフに「え?」と思う。
私が連れて行ってあげる……!?
その言葉を聞いて僕はそういえば、って思う。
葵咲ちゃん、車がないから普段は乗らないだけで、別に運転出来ないわけじゃなかった。
ってそうじゃなくてっ!
「車、とか……密室……なるから」
ダメって言おうとしたら「理人!」ってほっぺをギュッとつねられた。
痛い……。
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