51人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「こんなに身体が熱いし、声だっておかしいのに! 子供みたいに駄々ばっかりこねないの!」
言われて、いや、駄々ではなく……と思ったけれど、こう言う時の葵咲ちゃんには何を言っても無駄だと確信して、口に出すの、やめておいた。
「そもそも、よ! パジャマに着替えることもできずにそんな格好でベッドに入って! そんなんで1人で大丈夫とかよく言えたわね! ……ホント、バカなんじゃないのっ?」
ば、バカって言われた……。
よく考えたら僕、葵咲ちゃんにこんな風に叱られたことなかったかも。
いつも甘えさせてくれる葵咲ちゃんだけど、僕が元気な時は彼女もそんな僕に甘えてくれる時だ。割と相乗効果で、表面的にはどちらが上になるわけでもなくいい感じにバランスが取れてる。
とはいえ、僕は照れ屋の葵咲ちゃんが素直に甘えてくれなくても、いつも彼女の言動の裏の裏まで考えて動くようにしているから……彼女の要望も、僕の要望みたいに振る舞っているところがあるんだけど。
要するに、立場的には僕は常に彼女におねだりする側で、いつも葵咲ちゃんの下僕気分。
僕にとって、葵咲ちゃんは子供の頃に初めて出会ったあの瞬間から、唯一無二のお姫様だから。
そんな僕がどう頑張っても葵咲ちゃんに敵うはずなんてなかったよね。
最初のコメントを投稿しよう!