51人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「大丈、夫」
言ったら、「しんどそうだから。えっと、う、上だけ! 上だけ着替えさせてあげるね」って、葵咲ちゃんが僕のシャツのボタンと緩んだネクタイに手を掛けるんだ。
強気な言葉とは裏腹、彼女がめちゃくちゃ緊張しているのが、指の動きのぎこちなさで分かる。可愛いな、葵咲ちゃん。
どんなにしんどくても、僕は葵咲ちゃんを見ていると辛さがふと和らぐんだ。
僕にとって、葵咲ちゃんこそが最高の癒しなのだと再認識させられる。
耳まで真っ赤にして、緩めたネクタイを首から外して、シャツのボタンも全開してくれた葵咲ちゃんが、腕から袖を抜き取ってくれる。
「理人……。ば、万歳……?」
照れたように小声で指示を出して、そっぽを向いて僕のタンクトップを脱がせてくれてから、これまた視線をそらせたまま、新しいのを着せてくれた。
僕に下着を着せてやっとこっちを見るとか、キミはどんだけ初心なの。
一緒にお風呂に入ったことだってあるし、僕の上半身なんて――何なら全裸だって――見慣れてるはずなのにね。
初々しい反応をする葵咲ちゃんが可愛くて、回復したら、たくさんたくさんキスしよう、って気力が湧いてくる。
最初のコメントを投稿しよう!