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僕の体調不良の原因は、今季の流行を先取りした形で発症したインフルエンザA型だった。
熱があると告げた段階ですでに疑われていたらしく、待合室には通されず車で待機するように言われて。
スマホに連絡をもらう形で裏ルートから案内されて診察室に入ったら、僕の顔を見るなり「あー、多分インフルだね。目がそんなだわ」って嘘だろ。
検査もしてないのに断言するみたいに言われたことに驚いて、その嫌味なぐらい整った顔の金髪長髪の医者の顔を、僕は思わず睨み付けてしまった。
「もうやだっ。そんな怖い顔しないのっ。ちょ〜っと気持ち悪いけど我慢してね〜」
って、僕、子供じゃないんだけど? っていうか何故いきなりオネェ言葉!?
年齢は僕より割と上、だと思う。
のに! こんなチャラチャラした雰囲気でも許されるとか。それを補って余りある何かがこの医者にはあるってことなんだろうか?
多分インフルだね、と診断したくせに、「確定させないと保険使えないからねー」って、結局検査で鼻をグリグリされた。
だから病院は嫌いなんだ!
必要な処置なんだとは分かっていても、やはり何か腹立たしくて、涙目でその医者を睨みながら、僕の知ってる年配の先生に診てもらいたかった!って思った。
というのも、実はここ、僕と葵咲ちゃんが子供の頃にお世話になっていた小児科なんだ。
もっとも、当たり前だけど先生はこの人じゃなくて、もっと年嵩の先生。
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