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関節の痛みと悪寒で目が覚めると、ベッド横のサイドボードにミネラルウォーターのペットボトルと伏せられたグラス、それから処方してもらった解熱鎮痛剤がトレイに載せられて置かれていて。
葵咲ちゃん! あれだけ言ったのに、僕が寝てる間に寝室、入ってきたな!?
小さく溜め息を落としながらも、今はその配慮が有難く感じられたのも事実。
痛みに軋む身体をノロノロと起こして薬を飲むと、スマホがベッドに転がっているのに気付いた。
チカチカと光るお知らせランプに目がいって、それを手に取ると、葵咲ちゃんからのメッセージが入っていて。
開いてみると「大丈夫?」と一言。
受信時刻は今から30分ばかり前。僕が眠りについてから大体1時間ぐらい経った頃、かな。
眠っている僕を起こしたらいけないと思って、電話は避けてメッセージにしてくれたんだろう。
でも……返信はこないし既読にもならないから、きっと業を煮やしたんだろうな。
結果、言いつけを破って覗きに来たんだろう。
そう思うと、寂しかったらスマホに連絡してとか言いながら、応じなかった僕も悪いよねと思って溜め息がこぼれる。
連絡があったと言うことは、葵咲ちゃんは“寂しかった”んだ。
そう思ったら、ものすごい罪悪感に襲われて。
とりあえずしんどさにベッドに寝そべってから、葵咲ちゃんに電話をかける。
と、1コールも終わらないうちに『理人っ!?』と愛らしい……でもどこかソワソワした声。
僕の愛しの彼女は、どれだけ心配性で愛情深いんだろう。僕は葵咲ちゃんに、すごくすごく愛されている、と自惚れてもいいのかな?
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