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愛しい彼女からの抗いがたい誘惑に屈してしまいそうな自分を力尽くで何とかねじ伏せて、「続き、したかったら早く元気になって?」って、やっとの思いで告げたんだ。
こんなにしんどそうなキミを抱くとか……いくら何でも出来ないよ?
「こん、な、に……なってる、のに?」
なのに葵咲ちゃんったら、どうして今日はそんなに攻めてくるんだろうね?
僕の固く張り詰めた下腹部の熱にやんわり指先を這わせてそう言ってきた彼女の小さな手に、僕は一瞬息を飲んだ。
「き、さき、ダメ、だって」
その手をギュッと押さえてそこから離すと、
「僕はいつだってキミが欲しい。だからね、今だってしたくないなんて嘘、口が裂けても言わないよ? でも……このまま続けたら葵咲ちゃん、しんどいだろ?」
彼女の目をじっと見つめてそう告げる。
「僕はキミが辛い思いをするのは絶対に嫌なんだ。……だから葵咲、お願い。早く元気になって? 熱が下がったら……そのときは容赦なんてしないから……。覚悟して?」
葵咲ちゃんの頭に手のひらを載せてそっと撫でると、今度こそ彼女がおとなしく目を閉じてくれた。
やっぱり辛いのに無理しようとしてたんだね。困ったお嬢さんめ。
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