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葵咲ちゃんの服が入ってるスペースから、彼女がいつも愛用しているパジャマをいくつか取り出してみる。
引き出しを開けた瞬間、洗剤のにおいに混ざって葵咲ちゃん自身の香りがふわりと舞い上がってきて、僕は無意識に大きく息を吸い込んだ。
葵咲ちゃんと離れていた時間が長すぎて、彼女の気配に対していつも以上に過敏になっている気がする。
このところ、葵咲ちゃんはまだ半袖シャツに長ズボンのパジャマを着ていたけれど、僕は敢えて薄手の長袖長ズボンを選んだ。
白のシルクの上下で、ツヤツヤと光沢感があるそれは、縁どりに黒いステッチが入っていてアクセントになっている。
開襟で前開きボタンになっているから、脱ぎ着しやすいと思う。
葵咲ちゃんに着せるルームウェアの算段をしながら、僕はふと手を止めた。
4日前、僕が葵咲ちゃんにしてもらったのと同じことを今、僕が彼女にしようとしてるんだなって思ったら何だか不思議な感じがしたんだ。
そういえばあの時、熱でしんどい僕を恥ずかしそうに着替えさせてくれた葵咲ちゃんに、僕がやるときは上だけじゃなくて下も全部やってあげようって思ったんだっけ。
でも……。
いざ実際そう言う機会に恵まれてみると、僕は案外上すらも着替えさせてあげるの、難しいかもしれないって思ってしまった。
だって……葵咲ちゃんの肌をすぐ近くに感じる状況で、彼女に触れちゃいけないとか……結構な拷問だもの。
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