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「本当、ごめんね。何かあったら携帯鳴らしてもらえる?」
図書館のメインパソコンからは、僕のスマホのメールアドレスにメールが送信できるようになっている。
メールしなくても、番号自体、バイトの子達には周知済みだ。
ポケットに入れたままのスマホをポンポンと叩いて力なく笑ったら、「いいからもう帰ってください。えっと、彼女さんとか呼ばなくて大丈夫ですか?」とか。
ちょっ、それだけはご勘弁を!
そういえば鈴木くんにはついつい話しやすくて葵咲ちゃんのこととか話してしまってるんだよね。
はぁ〜。僕のバカ。
思っても今更。後の祭りだ。
「大丈夫。ちゃんと1人で帰れるから。……じゃあ、あとのこと、よ、ろしくお願い、しま、す」
んー、なんか喉も痛いな。
声、掠れてきた気がする。
鈴木くんに手を振りながらそんなことを思う。
どうしよう、家に帰ったら葵咲ちゃんにうつしかねない。
このまま実家に帰った方がいいかなぁ。
あー、でもやっぱり週末は葵咲ちゃんに実家に戻ってもらって、僕がマンションに残るのがいいな。
そっちの方が、彼女を一人ぼっちにするより断然安心だ。もちろん僕が!
操作パネルで1階を押すと、エレベーターの壁にもたれかかって、つらつらとそんなことを考える。
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