お小夜

4/6
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
「あっ!手毬!」 中々戻らない手毬を心配し探していた美佐子が、水島に抱かれている手毬を見つけ駆け寄ってきた。 「すみません水島さん。駄目でしょ手毬!水島さんにご迷惑かけちゃ」 「ハハハ。いいんですよ」 水島は美佐子に手毬を渡しながらそう言った。 その途端、手毬は急に泣き出した。 「どうしたの?急に」 自分の首に強く抱きつき泣きじゃくる手毬に困惑した美佐子は、水島を見る。 「さっきまでかくれんぼをしていたんですが、もしかしたら僕が中々探しに来ないので不安になっちゃったのかもしれません。すみません」 と、咄嗟に嘘をついた。 しかし心の中では、手毬はあの離れで人ならざるものを見たに違いないと考えていた。 「そうですか。もう手毬ったら、自分から水島さんにかくれんぼしようって言ったんでしょ?全く・・あら?これどうしたの?」 呆れた美佐子が見つけたのは、手毬の腕に着いた赤い痣の様なものだった。 「あ、本当だ。手毬ちゃん痛むかい?どこかにぶつけたのかな?」 水島は慌ててその腕を見て言った。他人の子供を怪我させてしまったとなれば大変な事だ。ましてや日引の知り合いの子である。日引からどんな目にあわされるか・・ 「手毬。痛いの?」 手毬は泣きながら首を振る。 「じゃあもう泣かないの。水島さん本当に気になさらないで下さいね。泣き止むまでその辺をぐるりとしてから部屋に戻ります。申し訳ないんですが、主人にそう伝えてもらえますか?」 手毬をなだめながら美佐子はそう言うと歩き出した。 快く了承した水島は、その後姿を見送ると急いで日引のいる応接間の方へと戻った。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!