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僕達は双子。そっくりで見分けがつかないでしょ?僕は右側にほくろ。お兄ちゃんは左側にほくろ。ほら。見分けがつきやすくなった。
ここは暖かくて僕ら2人の秘密基地なんだ、もうすぐでて行かないといけないんだけどね、
最近は音が聞こえるようになったんだ!お兄ちゃんはあんまりいい顔はしないけどお母さんが何か話してる声が聞こえる。僕にはさっぱり分からない、難しい単語が多すぎる、。でもお兄ちゃんはだいたい分かってるみたい。きっと僕よりも頭がいいんだろうなぁ。外に出てもお兄ちゃんがいたらたよりになるなぁ。
毎回話しが終わると僕の方を見て必ず「何があっても生き抜くんだぞ」そうやって言うんだ、僕はうん!とはいうけどさっぱりどういう意味か分からない。
お兄ちゃんはお母さんが好きじゃないのかな、お母さんの声を聞くと毎回嫌そうな顔をする。「お兄ちゃんはお母さん嫌い?」僕は聞いてみたんだ、「おまえはどうだ?」「僕はだいすき!」「なら、その気持ちをちゃんと持っていくんだぞ。」よく分からない言葉を残してお兄ちゃんは微笑んだ。お兄ちゃんの笑顔はすごく大好きなんだ、いつも優しい顔で笑うから。
「いいか。外に出る時はすごい大変なんだって。だから狭くて怖いかもしれないけどお兄ちゃんの後を着いてきたら大丈夫だからな。」
僕は凄いことをするんだ!ワクワクと恐怖と。ふたつの気持ちが入り交じっている。もうすぐ外の世界を見れるんだ。嬉しくも怖くもある。でもお兄ちゃんがいるから大丈夫な気がしてる。
またお母さんの声が聞こえてくる。あれ?お母さん、泣いてるのかな?
「お母さん泣いてるな。まぁこれはお前は聞かない方がいい。」お兄ちゃんは真面目な顔をして僕を見た。「お母さんなんて言ってるの?」僕は気になって仕方なかった。「お前が知る必要は無い。」そういって終わった。
微かに言葉が聞こえてくる。男の人、お母さん、2人が話し合いをしている。
「この状...は...です。どちらか...になります。」
んんー?よくわからないや、お兄ちゃんは分かっているんだろうな、
「お兄ちゃん、僕達はいつ外に出るの?」
「そうだな。もう今日中だろうな。もう少し、もう少し。」
お兄ちゃんは僕に大丈夫と微笑みかけた。僕に眠気が来た。
「お兄ちゃん、眠い。」「ああ、寝てていいぞ。俺が起こしてやる。」
お兄ちゃんは僕を見つめた。
何故か安心する。心地がいい。うとうとして目を閉じた。
しばらくたった。波の音が聞こえてくる。
目を開けるとお兄ちゃんが眠っていた。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!波の音が聞こえるよ?」
お兄ちゃんは少し苦しそうに目を開けた。
「ああ、そうだな、行かないとな、、」
「お兄ちゃん、眠たい?」
「大丈夫。俺の後に着いてこい。いいか。外に出たら俺が居なくてもちゃんと生きていくんだぞ。」
「お兄ちゃん?やだよ。お兄ちゃんも一緒に行くんでしょ」
「んん、俺は行くけど、、まぁ、心配するな。」
「どういうこと!ねぇ、お兄ちゃん、」
「とりあえず俺に着いてこい。」
僕達はくらいところを歩いた。疲れる、遠くてしんどい。どこだろう、どこまで歩くんだろう。外の世界に早く行きたい。
お兄ちゃんの足がどんどんおぼつかなくなってきた。
「お兄ちゃん?休憩する?疲れちゃった?」
「ここで休憩したらお母さんが大変だろ。最後まで行くぞ。」
お兄ちゃんはフラフラしながら歩いた。
しばらく歩くと光が見えてきた。
「いいか。あれが外に繋がる道だ。あの光に向かって進んでいってくれ。」
「お兄ちゃんは?」
「俺はあとから行くから大丈夫だから」
「絶対。絶対だからね!」
「ちゃんと俺の分まで生きるんだぞ。何があっても、大好きな、、、。」
僕は光に向かって真っ直ぐ歩いた。
外に出ると初めて空気を吸った。それと同時に鳴き声をあげた。
「お母さん。1人目ですよ。生きてます!」
助産師さんの声が聞こえた。もうすぐお兄ちゃんも出てくる。
「2人目、 は、、。」
周りがくらいムードに包まれた。
「この子が息をしていません。」
「じゃあ注射はこのこに当たったんだな。」
なんのことか理解できない僕。注射?お兄ちゃんは?
どうなったのだろう。
そう考えてるうちに眠たくなってきた。目を閉じてお母さんのなく声だけをきく
お父さんは、どこだろう、、はやくあいたいな、、。
僕は大きくなった。
お父さんは。いなくなっていた。あの喧嘩はきっとどっちも産みたかったお母さんの声。
どちらかを殺さないとお母さんが危ない。
中学生になってから僕は声が聞こえるようになった。
きっとお兄ちゃんの声だ、体はなくても、心の中に入っていて。あーきっと、寂しくなっちゃったんだろうな。
「大丈夫。僕にしか聞こえないかもしれないけど、お兄ちゃんはずっと僕のお兄ちゃんだから。」
産まれる前に注射を打ったんだね。お兄ちゃんは僕を庇ってくれたんだ、、
僕を生かすために。
ありがとうお兄ちゃん。僕はこの命を大切に繋いでいくからね。
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