暗殺ノ章

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煙の臭いを頼りにして、なんとか村に辿り着いたフレデリカ。 しかしそこには恐ろしい風景が彼女を待っていた。 家や牛舎、納屋がゴォーっと勢いよく燃え上がり、村人たちは黒い服を着た者たちにより虐殺されていた。 「っあ・・・!」 赤く鮮やかな血が飛び散るその光景を見てフレデリカは声にならない叫びを上げた。 ふと嫌な予感が頭をよぎる。 それは黒い服を着た者が両親を惨殺する・・・そんな光景が頭に浮かぶ。 フレデリカは誰にも気付かれないようそっと村長の家の裏口に行き、扉を開ける。 村長の家も火の手は上がってはいるが周りの家と比べまだ焼け落ちていない。 フレデリカは必死に両親を探す。 昨日泊まった客間から悲鳴が聞こえる。 それも聞き覚えのある悲鳴・・・。 「パパ、ママ!?」 フレデリカは走って客間へと向かう。 客間の扉を開けた瞬間、一人の黒服の女性が父親の首を斬り捨てた。 父親の真っ赤な血がフレデリカの顔を赤く染め上げた。 首はごろんとカーペットの上に落ち、父親の体の周りには大きな血溜まりができた。 父親の死体の傍には心臓に剣を突き立てられている母親の亡骸があった。
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