ササヤカな手

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「ありがとう。ほら、手出して」 握っていた指輪はポケットに残した。 亮太に恋した日を忘れたくない。 大切にしまっておこう。 「嫌だ……」 立ち尽くすだけの亮太の右手を 両手でつかんで 無理矢理に握手した。 この手が好き。 大きくて温かい。 離したくない。 「サヨウナラ」 これでいい。 笑って手を離した。 「サーヤ……!」 後ろで泣いている声が 聞こえなくなった時 もう一度 「アリガトウ」 呟いた。
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