聖母の絞首

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 私が静かにのろのろと動くのに対して、母は独り言を言いながらせわしなく動いている。 「お母さん買い物行ってきちゃおうかな」 「ん」  あなたが何しようとどうでもいい。  2人で過ごすといっても、幸い自分の部屋がある。母と一緒にいる時間をなるべく減らすために、ご飯とお風呂の時間以外は部屋に閉じこもっていた。  母が自転車に乗って出ていく音を聞きながら、私は変わりばえのしない朝食を消費する。  車を使わなくなったのは、ちょうど私が長期休みに入った頃だった。  母も父もはっきりとは言わないが、最近うちの家計は厳しいようだった。  きっかけは父の仕事が上手くいかなくなっていることのようだが、私の学費や家のローンなども負担になっているのだろう。  詳しくは知らない。  父とは話す機会がそもそも少ないし、母は私のことを守られるべき子どもだと思っている。  それでも、毎日同じ場所で過ごしていて、気づかないわけがない。
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