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14 着任しました...けどさ(溜め息)
翌朝、お祖母ちゃんにお土産もらって、キャネット・シティのギルドへ向かいます。キョロキョロ見回すとさすが猫族が多い。でもなんだかな~、活気が無い。猫だから昼間はみんな眠いの?
とりあえずギルドに到着。ここの支部長さんは虎の獣人さん。強面だけど、とってもいい#獣人__ひと__#。ただねぇ.....。
「いやぁ助かるわ.....俺、事務処理苦手でさぁ......」
って、何ですか、この書類の山!いや、いたけどね、そういう人。めっちゃ現場の仕事は出来るんだけど、事務処理からっきしダメな人。
「わかりました!頑張ります」
この仕事の鬼、イツキくんにお任せあれ!
「あんま無理すんなよ.....」
父さんより先に頭グリグリやるなよ、ルノア。父さんがヤな顔してるよ。で、そんなルノアは警備隊の人がお迎えに来て、ここでお別れ。なんか警備隊の人、すんごく丁重に扱ってる。元近衛隊のエリートだから?あんた、何物?
去っていく背中を見送りつつ、まずは荷物を下宿に搬入。父さんのたっての希望で下宿先は支部長さんちの二階。
「ここ使ってくれ。」
開けてくれたのは、南向きの手入れの行き届いたお部屋。風呂・トイレ・ミニキッチンつきの広い1K。
「#倅__せがれ__#どもはみんな王都に行っちまってな。引退したら下宿屋やるつもりで、改装はしてある。.....が、良かったら、飯はウチで一緒にどうだ?嫁も喜ぶし」
「ありがとうございます!」
いやー助かるわ、この世界はコンビニ無いし。ウー○ーイーツも無いんだもん。
支部長さんのパートナーは、アライグマの獣人さん。やっぱりギルドで働いている。怪我した冒険者さんの手当とか。とっても働き者。このお母さんの口癖は、
「家に帰ったら、うがい!手洗い!」
さすがアライグマ。
で、ぼちぼちギルドでのお仕事が始まったわけです。
まずは山のような書類をやっつけなきゃなんだけど、ギルド自体は......暇。閑古鳥が鳴いてる。まぁ魔獣とかいなくて平和ならいいんだけど、治安悪いって父さんも心配してた筈なんだけど。
「まぁ、くそ強い魔獣がいないわけじゃないんだが、そいつは森の奥に棲んでるから、そうそう問題なわけじゃない」
と支部長さん。じゃ、治安が悪いって...?
「最近、若い者が少なくなってな。年寄りと子どもばっかりになっちまったもんだから、野盗が出てきやがるんだ。自警団を組織するにも年寄りばっかりでな。警備隊頼みになっちまった」
あ、だからルノアみたいなのはウェルカムなのね。でもさ、のんびりしていい街なのに、なんで人いないの?
「王都は華やかだからな.....」
どこでもあるのね。首都一極集中、地方の過疎化問題。深刻だわね。
「まぁ、たまにメジャーな冒険者が来て盛り上がることもあるんだけどな」
あ、そう言えば、この前来てたわね。
でっかい猿と猪とカワウソのパーティー。猿が勇者で猪の拳闘士とカワウソの魔導師。で、妖精の僧侶に龍族の護衛剣士.....て、某メジャーなお話を思い出しちゃったわ。なんでも、妖精界に伝わる秘伝書を取りに行くんだって。まんまモ○キーマジックなパーティーだった。
だから、どっち行こうか迷っていたから、迷わず『西』をお勧めしたわ。まぁこの世界にお釈迦様がいるのかどうかは定かじゃないけど。
あと格好良かったのは、やっぱり猿なリーダーとコヨーテの射撃手とイタチの剣士のパーティー。イタチ剣士も良かったけど、コヨーテさんがジブ格好よくってさ。
リーダー猿ってばお調子者で、せっかくゲットした希少なお宝を騙し取られちゃったんだって、美人な豹の冒険者に。バカよね~。
『だから俺は猫科は信用しねぇ』
って、それ偏見よ、コヨーテおじさん。私みたいに真面目で健気な猫族もいるのよ。
まぁ、結局、何をやらかしたんだか、犬のお巡りさんに追いかけられて、スタコラ逃げてったけど......。
ともあれ、そんなメジャー処は本当に稀。
後はモブっぽいB級冒険者がチラホラ......で、ふと気がついたんだけど、冒険者の人が持ってくる魔獣の角とか肝とかの買い値が、めっちゃ安い。それ、王都だったら十倍、いやプレミアついたら百倍くらいの値段が着いてるやつよ。私、#市場__バザール__#で見たもん。
「なんでそんなに安いの?」
て支部長さんに訊いたら、正規ルートの買い取り価格って国で決まってて、めちゃ安いんだって。
「前は言い値で買い取れたんだがな、最近は規制が厳しくてな...」
財務長官変わってからだって。こら、マーシー、あんた何をやってんの。
「ウチの街でも、懸賞金出して名のある勇者集めたいんだけど、財政苦しくてな.....」
ふうん、色々大変なのね。
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